後続馬の猛追を振り切り秋華賞を制するダイワスカーレット(左)
<秋華賞>◇14日=京都◇G1◇芝2000メートル◇3歳牝◇出走18頭
G1馬4頭が集った大一番をダイワスカーレット(牝3、栗東・松田国)が制し、桜花賞に続く2冠目を獲得した。4コーナーで先頭に立つ積極策で後続を完封。1分59秒1の好タイムで、最強世代の女王の座に就いた。安藤勝己騎手(47)は自己最多タイとなる中央G1年間4勝目をマークした。
桜花賞馬の力を誇示してみせた。ダイワスカーレットが4コーナーで自分から動く。目標にされることを承知の上でスパートした。「ついてこられる馬はいない」。安藤勝騎手は腹を据えて追い出した。ゴール前でダービー馬ウオッカ、レインダンスの蹄(てい)音が近づいてきたが、慌てることはない。328メートルの直線を難なく押し切った。2着馬に1馬身1/4差をつける圧勝だ。道中2番手につけた馬に上がり33秒9の末脚を使われては、後続はなすすべがない。安藤は「ホッとした。返し馬で行きっぷりが良かったし(ハナに)行ってもいいかと。早めのゴーサインだったけど、長くいい脚を使うので大丈夫だと思っていた」と、スカーレットに寄せていた全幅の信頼を強調した。
陣営が教え込んできた折り合いが完ぺきについた。1コーナーすぎに内からヒシアスペンがハナを主張した時も、すんなりと行かせた。スカーレットは一瞬、追い掛けるそぶりを見せたが、安藤が手綱を引いて我慢のサインを出すと素直に従った。向正面の1000メートルから1200メートルの1ハロンでペースが13秒6と急速にダウン。その時にもスムーズさを欠くことがなく、スカーレットと安藤の呼吸は、最初から最後まで乱れることはなかった。だからこそ最後まで脚色は鈍らなかった。「前走よりもフットワークが良かったし、本当に柔らかい走りをする。これで負けたら仕方がないと思って乗った。あらためて、この馬の強さを感じた」。安藤は、ありったけの賛辞で愛馬の労をねぎらった。
松田国英師(57)は「ウオッカ、ベッラレイアに有利な流れにみえた。それでもコンスタントに上がり33秒台の脚を使える。頼もしいな」と笑顔を見せていた。1勝1敗だったウオッカとの対戦成績は、これで2勝1敗と勝ち越した。それでも安藤は「まだ勝負付けが済んだとは思っていない」と気を引き締める。
今後のローテーションは未定だが、マイルCSかエリザベス女王杯が有力だ。いずれの路線に進むとしても、まだ成長が見込める段階。トレーナーは「毎年3歳は強いと思うが、時計の裏付けもあるから」と期待を寄せた。黄金世代の頂点に立った女王なら、古馬も完封できる。(日刊スポーツ )